広報の専門家による連載コラム「スーパー広報術」で「奥川浩彦の走るITベンチャー広報」と題して執筆した全25回をご紹介します。
奥川浩彦の「走るITベンチャー広報
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■目次
広報活動のメリット
ベンチャーは広告より広報
広報は広告より価値がある
ITベンチャーとメディア
記事は全てにプラス
インターネットの力
インターネットを重視する理由
記事になりやすいもの
ニュース性を高める
ネーミング
逆転の発想 ネーミング募集
テレビから取材依頼
今年もUSB扇風機の季節です
広報は足で稼ぐ
媒体のスケジュール
PDFって便利ですか
製品写真について
深夜プロモーション
記事を演出する
ブログ始めました
低価格製品の広報
リリースはA4一枚か?
広報のモチベーション
企業内の広報の地位
記事は誰のために
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│01│奥川浩彦の「走るITベンチャー広報」………………広報活動のメリット
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■ゼロからのスタート(1/2)
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2001年の4月、筆者は仲間と二人でイーレッツと言う会社を立ち上げた。
振り返ると広報戦略が成功し、そこそこの知名度を獲得できたと思っている。
100点満点とは言えないが合格点は取れた。その手法を色々な角度からお話
ししよう。
イーレッツって知ってますか?読者の中にも何人かは「知ってる」と答えてく
れる人がいるかもしれない。うーーん、いてくれるとと嬉しい。この質問を秋
葉原で聞くとそこそこの人が「知っている」と答えてくれるだろう。
試しにインターネットの検索サイトGoogleで「イーレッツ」を検索すると少な
い時は数千、多い時は数万の検索結果がでる。2001年2月、会社名を決め
た時は検索結果がゼロだった。と言うより YahooやGoogleで検索してヒットし
ない社名を選択してスタートした。
会社設立時の目標の一つは知名度向上だった。とは言え広告を出すお金はない。
そのために積極的に広報活動を行った。パソコン誌の編集部を新製品のサンプ
ルを持って何十誌と回って記事を書いてもらった。
結果、最初の製品は40誌ほど記事掲載をしてもらい、思った以上に製品も売
れた。インターネットのニュースサイトやパソコン雑誌、モノ雑誌に露出する
ことは読者(=購入者)にアピールするだけに止まらず多くのメリットを我々
にもたらしくれた。
■記事露出のメリット(2/2)
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記事は記事を呼ぶ。記事掲載されるとそれを目にするのはユーザーだけではな
い。雑誌を作っている編集者もインターネットやパソコン誌を読んでいる。こ
ちらがリリースを送っていない雑誌の編集者から多くの問い合せが来る。
そこで新たに記事掲載をしてもらえる。更に編集部の方とコネクションが出来
るので次の製品を案内する相手が増える。気付いてみるとリリースを送るメー
ルアドレスは3倍になっていた。
流通も記事を読む。どの業界にも代理店、販売店等の流通は存在すると思う。
パソコンショップの店員、バイヤー、代理店の営業、仕入担当などの業界関係
者も当然記事を目にしてくる。
現在取引をしてもらっている代理店や販売店の多くはは先方から取引をしたい
と申し出てくれた。社員数人のベンチャーがこちらから売り込みに行っても果
たして取引をしてもらえてのであろうか。記事露出の恩恵は計り知れないくら
い大きいものである。
海外でも記事を読む。インターネットの記事は当然世界中で読むことができる。
言語の壁はあるが中国語に翻訳されているページも多数あり台湾、中国のIT
関連企業は日本の記事をかなりチェックしている。
彼らはメールで積極的に自社製品の売り込みを掛けてくる。同じような製品を
低価格で提案してきたり、彼らの新製品を紹介してきたり。面白そうなものが
あればサンプルを取り寄せて日本で売ることが出来る。事実いくつかの製品は
そんな背景で製品化できた。
過去を振り返ると記事掲載されてメリットはあったがデメリットは皆無と言え
よう。無名のITベンチャーにとって広報活動から得られるメリットは巨大だ。
是非多くのベンチャーに上手く広報活動をしてもらいたいと願っている。また
ご意見やご質問があれば気楽にメールを送って欲しい。
☆──[今回のまとめ]────────────────────
1.広報活動は製品の拡販につながるだけではない
2.記事掲載されることは次の記事掲載にもつながる
3.記事掲載は販路の拡大、取引先の拡大へつながる
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│02│奥川浩彦の「走るITベンチャー広報」………ベンチャーは広告より広報
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■資金の少ないベンチャーには広報だ(1/2)
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ベンチャーと一言で表現するがそれぞれ事情は違うであろう。バックにベンチ
ャーキャピタルが付いて湯水の様に資金がある会社もあれば、絞り出した自己
資金で運営している会社もあると思う。
資金があれば必要に応じて広告に投資することは可能。だが実際に多くのベン
チャーは豊富な資金がない場合が多く、見返りの保証されない広告は出したく
ても出せないのが実状ではないだろうか。我々も資金に限りがあったのでドカ
ンと広告を出すことはできなかった。
ちなみに一般的なパソコン誌のカラー1ページの広告費用は60万円程度。1
誌にチョロッと広告を出しても効果は期待できないので最低6〜7誌、出来れ
ば10誌くらいは出稿したい。媒体費だけでも数百万は必要だ。制作費等々も
足すとすぐに1000万円に近付いてしまう。
1000万円の利益を残せる製品は利益率10%なら1億の売り上げが必要だ。
20%でも5000万円。それだけ売れて広告で利益がゼロになるから、それ
から先が初めて企業の利益として残る計算になる。
対する広報活動ではどれくらい費用がかかるのか。広告と比較するなら限りな
くゼロ円に近い費用負担で済むのが広報=記事である。人が活動する費用はか
かるので全くゼロではないが、広告も制作に携わる人は必要だから媒体費等の
外部に支払う金額で比較するならゼロ円と言って過言でないと思う。
ゼロではなくても1/10〜1/20で済む可能性高い。コスト面では比較す
れば一目瞭然、ドカンと投資する資金がなければ汗かいて足で記事を書いても
らうのがベンチャーにとって最良の選択だと思われる。
■事業規模が小さくても広報は出来る(2/2)
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ビジネスモデルは無数にあるので広報への関わりも多くのパターンがあると思
われる。特定の企業からの受託開発を行うのであれば広告も広報もそれほど必
要ないかも知れない。
そんな会社でも自社製品を新発売するとなれば話しは別だ。多くの人に買って
もらうには、まず知ってもらうことが必要であろう。モノやサービスを多くの
人に提供するなら広報への関わりは重要となってくる。
大企業が広告費用を掛けられるのは見返りとなる売上げや利益があるからだ。
経費と利益の分母分子が大きくなれば広告費用は捻出可能だし、効果も期待で
きるので必要な活動だと考えられる。
スタートしたばかりのベンチャー企業に広報活動を薦めるのは、分母分子が小
さくても費用のかからない広報なら充分成り立つからだ。売上げが1000万
円、利益がその2割でも広報活動なら利益を残せるかもしれない。
最初からホームランが打てなくてもヒットを積み重ねるうちに売上げも伸びる
し知名度も上がり流通網も広がっていく。そうして事業規模が大きくなれば分
母分子が大きくなり広告費用が捻出できる様になるであろう。
まずはどうすれば記事として取り上げてもらえるか。どの媒体に売り込めばい
いのか。知恵を絞り体力を使って望めば道はきっと開けるはずだ。
☆──[今回のまとめ]────────────────────
1.豊富な資金がなければ広告よりも広報が有効
2.事業規模が小さなうちは広報活動を重視せよ
3.最初は小さな記事でも続ければ事業は拡大につながる
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│03│奥川浩彦の「走るITベンチャー広報」………広報は広告より価値がある
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■広報は記事になりうる価値が重要(1/2)
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新製品を発売したとする。広告は費用を払って原稿を収めれば必ず掲載される
が広報活動を行って記事になる可能性は100%ではない。必ずしも掲載され
る保証がないのが広報(=記事)なのだ。
記事として取り上げてもらうには製品やサービスにニュースとなりうる価値が
必要だ。広告なら価値のあるなしに関わらず掲載できるので、費用さえ払えば
露出することができる。
如何にして記事として取り上げられる様な価値を付加できるかが広報活動のポ
イントだ。その答えは記事にある。実際に媒体に取り上げられた記事を<低価
格><最軽量><業界初><季節の風物詩>等々切り口を意識しながら見る様
にすれば価値を見極めることが出来るであろう。
ここで言う価値とは読者や視聴者にとっての広い意味での価値で必ずしも購入
に結びつくものではない。ニュースに触れた人が<珍しい><面白い><新し
い>と知り得たことをプラスと感じるものであれば充分に価値のあるニュース
だ。
ベンチャーに「初もの一もの」が連発できる訳もない。しかし風変わりなもの
ならアイデア次第で小さな会社でも作れるはずだ。筆者がイーレッツで実際に
製品化したものは<風変わり>故に記事となったものがいくつかある。
USB扇風機、USBクリスマスツリー「線上のメリークリスマス」、パソコ
ン電源対応加湿器「キリー・ポッター」等々は<世界初>と言われたり、ネー
ミングがウケて大いに記事になりイーレッツの知名度向上に役立ってくれた。
線上のメリークリスマス」は何故かヒット商品となりネットオークションで数
倍の値段になったりもした。
これらの製品は機能や性能で世の中に貢献することは少なかったが、記事を読
んだ人が笑ってくれることは多かったと思う。書く側の編集者も大いに笑って
くれた。凄い技術ではなくても記事になる価値があるものは沢山存在するはず
だ。
■よい記事は広告以上の効果あり(2/2)
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広告は自社の言いたいことを自由に主張することが可能です。記事は必ずしも
<いいこと>だけを書かれるわけではない。例えばパソコン誌の評価記事など
は実際に製品を使って上で辛口なことも書かれる可能性がある。
メーカーとしては<いいこと>を書いてほしいが、読者の立場に立って読めば
自分が購入しようと思う製品が本当にいい製品なのかを知りたいはずだ。辛口
な評価があればこそ媒体としての存在意義があることを忘れてはいけない。
記事で高い評価を得られれば広告以上の効果が期待できる。メーカーが自社広
告で<素晴らしい>を言うのは当たり前だが、第三者である雑誌が<素晴らし
い>と評価すれば納得する読者は多い。
第三者の評価は信頼性が高い。広告のうたい文句を信用しない消費者も雑誌で
の評価なら信用する確率は高い。広報活動をして高い評価を受けることは広告
以上の宣伝効果があると言えよう。
コスト面ではほぼゼロ円の広報に対し、広告はそれなりの費用が発生する。支
払った費用に対する保証もある。広報が必ずしも優れているとは言えないが載
ればラッキーと思えれば広報活動を行ってみる価値はあるだろう。
広報も広告もどちらにもメリットは沢山ある。企業規模や製品に合わせて使い
分けることが重要だ。空振りに終わったりマイナスの記事が出るリスクもある
がメリットも多いのが広報だ。
☆──[今回のまとめ]────────────────────
1.記事は必ずしも掲載される保証はないと自覚せよ
2.記事になるには、ニュースとしての価値が必要
3.第三者が書く記事は信頼性が高く広告以上の効果あり
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│04│奥川浩彦の「走るITベンチャー広報」………ITベンチャーとメディア
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■専門雑誌と新聞の掲載効果は(1/2)
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パソコン好きの人はIT機器を購入する際にどんな媒体から情報収集をしてい
るのだろうか。キムタクのテレビCMだろうか。それとも新聞の新製品欄、ある
いは週刊誌。オタクとまで行かないにせよ、パソコン好きと言われる人は、お
そらくパソコン専門誌やインターネットのパソコンニュース媒体を参考にして
いると思われる。
パソコン本体ならパソコン誌以外でも掲載されていることは多々あるが、周辺
機器やパーツとなると記事掲載されるのは専門媒体に限られている。家電、雑
貨品はテレビ、ラジオ、新聞等で情報を伝える効果が高いが、IT系の製品や
サービスはそれらの媒体では取り上げられにくいし効果も期待できない。
私が以前勤めていた一部上場のパソコン周辺機器メーカーはIR系の広報と製
品系の広報を別部門が担当してた。IR部門は投資家を向いて仕事をするので
経済新聞に記事が出ると喜ぶが、私が担当していた製品広報は「新聞に出ても
モノは売れないよね。アキバ系の新製品ニュースの方が効果あるよね」と言っ
ていたものだ。それは現在でも変わっていない。ただ記事が期待するところは
モノ売りだけではない。
先日携帯電話のメッセンジャーサービスの広報をお手伝いした。サービスの内
容は若い女性達(女子大生とか)が喜ぶもので、経済新聞を読むオジサン達に
はあまり縁のないサービスだ。それでも経済新聞の記者に(一応興味を持って
もらえそうな若い女性記者に)紹介したところ記事にしてもらえた。
クライアントの社長から「記事掲載されています」と連絡があり私も新聞を開
いたが最初は見つけられなかった。紙面の下の方ばかり探していたら、一番上
に大きく掲載されていたためだ。
おそらくこの新聞記事を読んだオジサン読者でサービスを使う人はほとんどい
ないと思うが、クライアントに出資しているベンチャーキャピタルが喜んでく
れたそうだ。加えて同業系の企業からビジネス面でのオファーがあり結果とし
て新聞掲載の効果はあった。特に株公開を狙っているベンチャーなら、営業面
での効果は薄くても経済新聞に掲載されることはステータスとしてIR面で価
値がある。
■専門雑誌と新聞の掲載効果は(2/2)
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イーレッツの製品に「駆動静か」と言うパソコン静音化パーツがある。製品と
してはタワー型のパソコンを静かにする改造パーツだ。この製品は2003年
の1月に発表しパソコン誌(紙、WEB)でそこそこ取り上げてもらえた。
この記事を見た日経流通新聞MJが2月に製品名に関するコラムでインタビュ
ー形式で記事にすると女性セブンから取材依頼がきた。記事の内容は「面白ネ
ーミンググッズ」。女性誌に掲載するに製品ジャンルがズレているかと思い加
湿器「キリー・ポッター」を提案したところ「駆動静か」と併せ2製品を紹介
してもらえた。
更に写真週刊誌フラッシュから取材依頼があり、身分不相応だが見開き2ペー
ジで企業紹介として掲載してもらえた。タイトルは「名古屋発・ユル〜い<お
やじギャグ>企業に学べ」。反響は大きく、多くの知人から連絡をもらった。
同時にテレビ局5社から取材依頼が入った。地元局は朝マンションの前から密
着取材をして8分の枠で放送してくれた。
この放送がきっかけで地元の女子大から「ネーミングと宣伝」で1時間半の講
演の依頼があった。講演後に女子大生と飲みに行って新たな飲み仲間が増えた
のは予想外の産物か。
さてパソコン専門誌→新聞→週刊誌→テレビとリレーションしたわけだが、ど
のタイミングで製品が一番売れたか。答えは最初のパソコン誌だ。営業面の効
果を考えればコア層が読む媒体が一番効果があった。しかし1年後にもMJの
記事で講演依頼があり、その講演に参加していた方からラジオ出演の話しをも
らったりと影響は計り知れない面もある。
製品や社員が露出することはマイナスはほとんどない。ベンチャーならまずは
自社製品を扱う専門媒体からキッチリ広報活動を行うことが大切だ。
☆──[今回のまとめ]──────────────────────
1.専門性の高い製品は新聞よりも専門誌の影響大
2.経済新聞への露出はIRでの価値がある
3.専門誌から新聞、一般誌、TVへとリレーションすることもある)
営業面の効果は専門誌だが業の知名度向上は一般媒体が大
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│05│奥川浩彦の「走るITベンチャー広報」………………記事は全てにプラス
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■記事が輪を広げる(1/2)
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記事掲載の効果をより具体的に紹介しよう。元々筆者はパソコン周辺機器メー
カーで広報をしていた。新たにイーレッツを始める際、新製品のサンプルを持
ってパソコン誌の知り合いを回った。新製品はUSB携帯充電ケーブル「充電
一直線」だ。
2001年当時、パソコンのUSBから携帯電話を充電する“だけ”のものは
日本に存在しなかった。携帯電話のメモリ編集やモデムの付属品として同等の
ものは存在したが価格は高く8000円くらいで売られていたと記憶する。
充電するだけのシンプルな製品にして低価格だったら欲しいよねっと思い製品
化した。取りあえずパソコン誌を回り記事にしてもらう。すると今までご縁の
なかった携帯関連の雑誌からも問い合わせが来た。
当時アスキー社の携帯24の編集長、木暮祐一氏との出会いもこの時だ。木暮
氏は日本一携帯を持つ男として知られ1000台以上の携帯を保有する業界の
有名人。第7回「広報達人会」の講演者でもある。
木暮氏はケータイBEST、iモードスタイル等々携帯雑誌の編集者を紹介し
てくれた。現在筆者が広報支援をしているマイタン社の携帯フィギュア「モバ
イル フィギュアコレクション」もこれらの雑誌で紹介してもらっている。
イーレッツ立ち上げ時の編集者のメールアドレスは200人弱しかなかったが
現在は600人弱、約3倍に拡大した。記事が記事を呼び人の輪は大幅に拡大、
毎年100人は増えている。
■記事は販売網を広げる(2/2)
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現在、秋葉原のLAOXザ・コンピュータ館にイーレッツコーナーが設置され
ている。社員数名のベンチャー(=零細企業)にとってはありがたいの一言だ。
きっかけはUSBクリスマスツリー「線上のメリークリスマス」だった。
ジョーク半分ノリ半分で始めたUSBクリスマスツリーは思った以上の記事露
出があり話題となった。2003年夏、LAOXのバイヤーから電話があり
「線上のメリークリスマスを販売したい」と取引を開始することになった。
年末「線メリ」は好調に売れた。年が明けて2004年、DOS/Vパーツのコー
ナー長から「イーレッツコーナーを設置し、イーレッツ製品を全て在庫して販
売したい」と申し入れがあった。コーナー設置の効果は絶大だった。
それまでイーレッツに電話を頂くユーザーの質問は「雑誌で見ました。何処で
売ってますか」が圧倒的に多かった。これはITベンチャー共通の悩みで、イ
ンターネット直販はできても、流通網の弱さは大きな壁となっていた。今でも
まだまだ大きな壁だと思っている。
コーナーを設置すると問い合わせの電話が激減した。あるいは電話での問い合
せに「LAOXのザ・コンピュータ館にあります」と答えると「ザコンですね」
と納得してもらえる。新製品の展示をすれば秋葉系のWEBニュースが記事掲
載をしてくれるなど相乗効果もあり嬉しい限りだ。
イーレッツコーナーは新宿、池袋のビックカメラにも設置してもらえた。これ
も先方のバイヤーからの依頼で実現した。バイヤーに挨拶に行ったら「イーレ
ッツファンなんです」と当社のUSB扇風機を見せてくれた。多くの業界関係
者が記事を読んでくれていることを実感した。
☆──[今回のまとめ]────────────────────
1.記事掲載は企業にとって全ての面でプラスとなる
2.業界のキーマンとの出会いは大きな財産に
3.記事によるイメージアップは販路拡大の武器となる
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│06│奥川浩彦の「走るITベンチャー広報」………………インターネットの力
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■インターネットでブレイク(1/2)
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現在、筆者が広報支援を行っているマイタンは昨年の9月に初の自社ブランド
製品「モバイルフィギュアコレクション」を発売した。携帯電話を40%に縮
尺し極めて精巧に作られたフィギュアだ。7月に大手PR会社に広報資料を渡
し、地方新聞やフィギュア雑誌、携帯電話雑誌等に取り上げられた。
8月末、別件で筆者が訪問すると発売を二週間後に控えた「モバイルフィギュ
アコレクション」があった。筆者は掲載された記事に出会うことがなかったの
で、その場で初めて製品の存在を知った。
マイタンではホームページの直販で一万個、二十数万個をコンビニ等の流通で
販売を予定していた。その日の段階では、マイタンのホームページでの直販に
1500個の予約が入っていた。また、インターネットで「マイタン」を検索
しても企業名の「マイタン」はヒットしないと言っていた。
筆者は「携帯モノならインターネットだよ」とサンプルと資料をあずかってイ
ンターネットの携帯ニュース媒体、具体的にはITmedia mobile
(ソフトバンクITmedia)、携帯24(アスキー)、ケータイWatc
h(インプレス)の3誌を回った。
各誌を回ってみると「全然知らない」「面白い」とほぼ共通の反応、各編集者
と相談し、既に大手PR会社からリリースはされているが、発売日の9月13
日に「本日発売」と再リリースを流すことにした。
筆者から携帯WEB三誌を含むIT関連の編集者600人にリリースを流した。
予定通りWEBニュースに掲載されるとマイタンのホームページはダウンする
ほどアクセスが集中し3日間で8500個の注文が殺到し完売となった。コン
ビニ等の店頭販売も好調で初製品をしては順調な滑り出しとなった。
この時の広報支援は無料で行ったが、12月に発売した第二弾では大手PR会
社への依頼をやめ筆者のところへ広報支援の注文がきた。更に4月中旬には第
三弾の発表を予定している。
■インターネットの波及効果は(2/2)
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昔は何か調べ事をする時に図書館で過去の新聞を見たり書物を見たりしたが、
現在は多くの人がまずインターネットを利用していると思われる。特に筆者の
いるIT業界の情報はインターネットが中心と言っても過言ではない。
それまでGoogleでヒットしなかった「マイタン」の社名も現在では最初
のページに多数検索される様になった。「携帯 フィギュア」と検索しても同
様な製品を出した大手タカラをはるかに上回ってヒットする。
製品も順調に売れ、更にシャープから年末発売のFOMA SH901iCに
はマイタンのフィギュアが景品として10万個採用された。インターネットの
波及効果は恐ろしい…イヤ、素晴らしい。
筆者が新製品の発表の際に一番重視しているのはインターネットのニュースサ
イトだ。貸出機を用意して実機を評価するレビュー記事は紙媒体が有効だが、
最初のニュースに関してはインターネットに部があると思っている。
インターネットのニュースサイトに掲載されるメリットは沢山ある。検索性、
リンク性、保存性が高い等の一般的なメリットに加え筆者が重視しているのは
二次広報としてのリレーションだ。
IT系ニュースサイトに複数記事掲載されれば、ニュース配信でYahooやライブ
ドア等のポータルサイトのニュースに掲載される。こうして10程度のWEB
ニュースに掲載されることで、まずはIT系媒体の編集者(編集プロダクショ
ンも含め)の目にとまる可能性は高い。
これにより面識がなくリリースを配信していない編集者にも間接的にリリース
配信したことになる。実際に記事掲載や取材の依頼はかなり来るものだ。これ
が筆者の期待する二次広報の効果だ。
☆──[今回のまとめ]────────────────────
1.インターネットの波及効果は大きい
2.ITベンチャーはWEBニュースの記事掲載を重視せよ
3.WEBニュースに掲載されると二次広報の効果がある
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│07│奥川浩彦の「走るITベンチャー広報」…インターネットを重視する理由
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■ネットニュースは載りやすい(1/2)
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前回、WEBニュースは他のメディアに対する二次広報の効果がありインター
ネットを重視していると書いた。紙媒体より即時性があるインターネットの特
性が活かされるシーンだ。
WEBニュースを見るのはメディア関係者だけではない。代理店、販売店等の
業界関係者も頻繁にこれらのニュースを見ている。エンドユーザー以上に関係
者の影響力は高いので、販売につながることが期待できる。
インターネットを重視するもう一つの理由は掲載される率が高いからだ。例え
ば月刊パソコン誌の新製品紹介のページで掲載される製品は平均的には10〜
20製品と考えられる。逆に言えば無数に発表される製品の中で月刊のベスト
10〜20に入らないと掲載してもらえないことになる。
インターネットのニュース媒体は日刊で平均的に10製品程度が掲載される。
平日20日とすれば200製品が記事掲載されることになる。この段階で確率
は単純に10倍以上になる。
更に大手メーカーの発表が少ない月曜、金曜で、国内外の展示会等イベントの
ない日を狙って発表する。その様なニュースの薄い日ならベスト10に入れる
確率は更に高くなり、紙媒体と比較すれば数十倍も掲載されやすくなる。
紙媒体だけなら大手しか掲載されないパソコンの新製品も、インターネットニ
ュース媒体のお陰でベンチャーの製品も掲載されやすくなった。販売流通網を
持たない企業でも製品の販売も可能になるなどインターネットの恩恵はベンチ
ャーにとって絶大だと思う。
■Webへのアクセス(2/2)
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紙媒体とインターネットの新製品ニュースの違いは早さだけでなく情報量にも
差がある。1ページに数製品を掲載する紙媒体では極一部の情報しか掲載され
ないがインターネットの場合は1ページを独占できるので情報量ははるかに多
い。
更にWEBニュースにはメーカーホームページへのリンクが張られているケー
スが多く、各媒体からアクセスが飛んでくる。これにより更に詳細な情報提供
が可能になるし、来たついでに他の製品ページへのアクセスも増える。
筆者の会社は設立時には社内のパソコンをサーバーとしてホームページの公開
をしていたが、記事掲載からアクセスが集中しダウンしたのですぐに外部サー
バーに変更した。
それでもYahooトップページのトピックスにUSBクリスマスツリー「線上の
メリークリスマス」が掲載された時は、3時間で17万ページビューのアクセ
スがあり外部サーバーでもダウンしてしまった。
アクセスログを見ていると、紙雑誌に掲載されてもホームページへのアクセス
が集中することはほとんどない。WEBニュースなら掲載されて数日間は万単
位でPVが上がるのが確認できるが、紙媒体の発売日から数日間でアクセスロ
グに大きな変化は見られないものだ。
インターネットではブログの影響も大きい。WEBニュースにコメントを付け
るブログページは多数あり、それらのページからのアクセスもニュース媒体並
に多い。時代の流れを考えると今後益々ベンチャーの新製品はインターネット
重視になるだろう。
☆──[今回のまとめ]────────────────────
1.WEBニュースは紙より掲載されやすい
2.少し工夫すれば掲載確率は数十倍になる
3.自社ホームページへのアクセスはWEBニュースで増大
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│08│奥川浩彦の「走るITベンチャー広報」……………記事になりやすいもの
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■IT系は記事になりやすい(1/2)
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最先端の開発をしている大企業は世の中を変える様な製品を作ることができ、
おのずと記事になるものだが、ベンチャーとなるとその様な製品はおいそれと
開発することは難しいだろう。
では、記事として露出するためにどうするか。記事になりやすいジャンル、記
事になりやすい旬の話題を考えてみてはいかがだろう。チョット視点を変えれ
ば可能性は広がるものだ。
ITベンチャーは記事の面では恵まれていると思っている。本屋の棚を想像し
て欲しい。自動車誌、パソコン誌、釣雑誌、映画誌、オーディオ誌…数多くの
ジャンルがあるが棚面積で比較するとどのジャンルが場所を取っているだろう
か。
自動車誌とパソコン誌は多くの本屋で棚を取っている。単純に媒体数が多いの
である。媒体数が多いと言うことは掲載される確率が高い。ユーザーに認知さ
れる可能性が高いのである。
加えてインターネットの世界も、元々パソコンから始まった媒体なのでIT系
の記事は少なくない。食品メーカーと比較するとパソコンメーカーの方がアク
セスするユーザーは多くなる可能性がある。
もしかすると社員数百名の工作機械メーカーよりも数名のITベンチャーの方
が、この利点を活かすことで企業の知名度を向上させることができるかもしれ
ない。
■時代を捉えたネーミング(2/2)
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イーレッツの知名度向上に役立った製品に「キリー・ポッター」がある。製品
は小型の超音波加湿器だ。元々自動車部品メーカーがカー用品として開発した
ものがベースでOEMで供給してもらった。
筆者は供給元の担当者に「有名にする」と言って交渉したが疑心暗鬼の様子だ
った。単なる加湿器では記事にならない。そこで考えたのがパソコン誌が書け
る様にアレンジする方法だ。
元々他社がカー用品として開発されたものなので、電源は12Vを必要として
いる。家庭で使用する時はACアダプターで駆動する。12V電源をパソコン
内部から取ることで「パソコン電源対応」と唱ったのである。実用面ではかな
り強引だが、くだらなさもウケる方法の一つだ。
発表が2002年の1月、映画ハリー・ポッターの封切り1ヶ月後で日本中が
ハリー・ポッターブームの時である。ネーミングもウケて大いに記事掲載され
ることになった。供給元も驚くとともに喜んでくれた。
色を変えただけの第二弾「キリー・ポッターII」は発表日に工夫をした。映画
の第二弾「ハリー・ポッターと秘密の部屋」の封切りが11月23日。その前
日22日に「キリー・ポッターII」を発表した。掲載されたWEB記事のタイ
トルは『あの映画に先駆け「キリー・ポッターII」登場』。まさに狙い通りだ。
製品としては特別なものではなかったが、記事にするポイントは、
1.媒体の多いパソコン誌をターゲットにした
2.世の中で旬な話題と合致したネーミング
3.旬な話題とタイミングが合った
自社の製品も少しアイデアを考えれば話題となる可能性はあるはずだ。
☆──[今回のまとめ]────────────────────
1.IT系の媒体は多く、記事掲載されやすい
2.旬な話題に関連すると記事掲載されやすい
3.発表のタイミングも記事掲載につながる
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│09│奥川浩彦の「走るITベンチャー広報」………………ニュース性を高める
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■広報を意識した製品開発(1/2)
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前回は「キリー・ポッター」と言う柔らかい(くだらない)製品のことを書い
たので今回はもう少しまともな製品、超小型静音パソコン「Be Silen
t」ことをお伝えしよう。
2002年4月に発表した「Be Silent」は手の平サイズの超小型パ
ソコンで、騒音の元となるファンをなくした、省エネ、省スペース、低騒音を
特徴とするパソコンだ。
特徴だけ書くと素晴らしいパソコンに聞こえるが、実際にはCPUが667M
Hzと今時のパソコンと比較すると非力で、普段使うパソコンには向いていな
い。企業やパソコンマニアがサーバー等で使用するためのものだ。
パソコンマニアの中で静音はキーワードとなっており、24時間稼働させるサ
ーバーやダウンロード専用パソコンとしては理想的なスペックを持っている。
マニアックのものが好きなパソコン編集者にはおのずとウケる製品だ。この製
品の広報活動を詳しく紹介しよう。
まずはネーミング。ネーミングで有名になったと言われるイーレッツなので、
少しはひねりの入った名前を付けようと考えた。ただし「充電一直線」「線上
のメリークリスマス」「記録喪失」と言ったくだらな系は最初から考えていな
かった。
他社で「牛丼パソコン」「新宿パソコン」等があるが相応の対価を払うパソコ
ンの名前としては買って嬉しくないと考えた。他人に「どんなパソコン買った
の?」と聞かれ「牛丼パソコン」と答えるのはいかがなものか。靴下の「通勤
快足」は許せるが車の名前が「通勤快足」ではチョット買えない。
静音が売りのパソコンなので「サイレント」をキーワードとした。最終的に決
定したビー・サイレントは79年山口百恵のヒット曲「美・サイレント」に掛
けているが、「Be careful=注意して」と同じく「静かにして」の
意味も持たせている。
■製品ラインアップだけでも露出度は変わる(2/2)
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さすがに79年の曲なので若い方は知らない。某雑誌に紹介した際にも若い編
集者から「製品名が普通ですね」と言われたが、隣にいた編集長は「わかんな
い?山口百恵だよ」とフォローしてくれた。
発表の際に各編集者に送るメールには製品名の由来を解説した。その解説が多
くの記事の中で「製品名のBe Silentは山口百恵の」と紹介された。
ウケは弱いが購入する人も違和感のない製品名になっていると思う。
パソコンマニア雑誌はスペックで充分記事になる(ネーミングはおまけ程度)。
より多くのパソコン誌に掲載されやすくするために製品ラインアップにも一工
夫をこらした。
元々ハイエンド、マニア狙いの製品なので当初はメモリ、ハードディスク、O
Sを自分で用意して組み立てるベアボーンだけを販売する予定だった。だがベ
アボーンだけでは世の中ではパソコンとは言われない可能性が高い。
WindowsXPをインストールした仕様を加えることで、パソコンメーカ
ーとして認知されると考えた。自作パソコンを紹介するマニア雑誌だけでなく
普通のパソコン誌でも掲載できる様にラインアップを追加したのだ。
ある雑誌の記事のタイトルは「あのイーレッツがパソコンメーカーに」。これ
も狙い通りだ。風変わりな製品で知名度を稼いだ後だけに逆にインパクトも強
くなったとも考えられる。発表の段階だけでなく、製品を企画する段階から広
報を意識すれば効果は違ってくる。大手では難しいかもしれないが、ベンチャ
ーならこんな工夫は簡単なはずだ。
☆──[今回のまとめ]────────────────────
1.製品の企画、開発段階から広報を意識する
2.ネーミングはウケだけじゃなく買う人も意識する
3.ラインアップの工夫でも露出度は変わる
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│10│奥川浩彦の「走るITベンチャー広報」…………………………ネーミング
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■ネーミングで知名度向上(1/2)
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イーレッツの知名度を上げたの要因の一つはネーミングだ。会社設立当初から
狙っていたわけではないが結果として大きく貢献した。今回はネーミングにつ
いてお伝えしよう。
以前にも書いたが最初の製品は、パソコンのUSBで携帯電話を充電するケー
ブル「充電一直線」だ。ネーミングをした理由は、比較的ライトな製品だった
ので、KBC−PDC/Uと言う型番だけでなく何か愛称があった方が売りや
すいと思ったからだ。
候補は「充電一直線」と「ヘイ!ジューデン」。パソコンと携帯電話をつない
でいると普通は通信をしている様に見えるが、この製品は充電しかしない。充
電一本槍だぞーってイメージを表すことができる「充電一直線」を採用した。
今では珍しくない製品だが、当時日本にこの手の製品がなかったことと、かな
りの編集部を回って広報活動を行ったこと、加えてネーミングがウケたことも
ありそこそこのヒット商品になった。
それ以降の製品とネーミングを抜粋してみると、
★パソコン静音化パーツ 駆動静か
★小型加湿器 キリー・ポッター
★USB電池アダプタ 電池でGO!
★PCゲーム立体アダプター Beautiful・3D(サンデー)
★CDシュレッダー 記録喪失
★卓上空気清浄機 エアフォース・ファン
★USBメモリ 通勤フラッシュ
★USB扇風機 一台扇風
★ライト付USB扇風機 風光迷微
★USBクリスマスツリー 線上のメリークリスマス
★超小型静音パソコン Be Silent
■ネーミングのターゲット(2/2)
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よく聞かれるのが「ネーミングの会議をするのですか」「ネーミングのコツは」
「いつもおやじギャグ連発なんですか」等々。会議もしないし、特別なコツも
ないし、普段はただのおやじだ。
但し、製品名のネーミングで心がけていることはある。ターゲットを35〜4
5歳、男性と考えていることだ。何故?パソコン誌の読者年齢は意外と高く、
雑誌にもよるが平均的にはその年齢だ。また編集長クラスにウケるネーミング
の方が誌面掲載の可能性が高くなると期待もできる。
よって若い人が知っていてもおやじが知らないものは対象外となる。カラオケ
でおやじが「それ誰の曲」と質問する様なミュージシャンの曲はネーミングの
候補からは外れることとなる。
「なるほど」「そう言うこと」といった少しひねりが入った方が好ましい。よ
くある「○○君」は単純すぎて面白みがない。「フラッシュ君」よりは「通勤
フラッシュ」、「扇風機太郎」よりは「一台旋風」、「静かちゃん」よりは
「駆動静か」の方がウケがよい。
しかし重要なのはネーミングだけでは事は成立しないと言う事実だ。まずは製
品に魅力がなければ記事にならない。ネーミングを付けても広報活動を行って
認知されなければ意味がない。認知されても製造して販売するルートを持って
いなければ商売は成立しないのである。
ネーミングはプロセスの中のほんのわずかな調味料だ。優れたアイデアとコス
ト競争力、製品の品質、流通網等々を持った上でネーミングと広報活動を行え
ば商売の加速につながるが、魅力のないものはネーミングを変えただけでは売
れないと思う。
☆──[今回のまとめ]────────────────────
1.ネーミングで知名度を上げられることもある
2.ネーミングのターゲットを明確に
3.ネーミングだけで売れるわけではない
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│11│奥川浩彦の「走るITベンチャー広報」……逆転の発想 ネーミング募集
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■発売遅延、さぁどうする(1/2)
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2002年の8月にアサヒパソコンのインタビューを受けることになった。巻
頭のカラー1ページの記事で製品の発想や今後の計画について話した。インタ
ビューを受けるときには、お礼も兼ねて何か新しい話題を提供するよう心がけ
ている。具体的には近日発表する製品とか、試作段階でボツになったモノとか、
公式に発表することのないネタを用意するようにしている。
この時は9月に発売する予定のCDシュレッダーをいち早く紹介しようと考え
ていた。CD−Rに書き込まれたデータを消す装置で、製品名は決まっていな
かったが、雑誌の発売日が9月末だったのでこの段階では充分時間もあった。
ところがIT業界だけではないと思うが、発売が遅延することの多いのが業界
の常で、1ヶ月ほどずれ込む可能性がでてきた。すでに記事は進んでいるし、
写真も掲載されている。無理矢理発表してしまう手もあるが、販売面では発表
から出荷までの期間が長すぎるのは好ましくない。
10月に製品発表を行うとして、1ヶ月間つなぐ方法を考えた。そこで思いつ
いたのがイーレッツ初のネーミング募集だった。すでに9月の中旬だったので
紙媒体は間に合わない。いつもお世話になっているWEB媒体を回って「ネー
ミング募集」で記事になるか打診してみると快く引き受けてくれた。感謝、感
謝。
単なるネーミング募集では記事ネタとして面白くない。こちらで考えた8個の
候補名への投票と、読者オリジナルのネーミング募集の形式でリリースを流し
た。オリジナルにはネーミング賞とボツネーム賞を用意して遊び感覚も演出し
た。
ちなみに8個の候補名は、
・消去隠滅 (他人に見せられないデータを消去し隠滅する)
・封印CDR (WinCDRで焼いて封印(ふういん)CDRで消す
・爆消問題 (漏れると問題になるデータを消す)
・クラッシャー板前 (Disk(板)のデータを漏れる前に破壊する)
・Control + All + Delete (データを全て消して安全管理)
・Disk Close (漏洩(ディスクローズ)を防ぐ)
・CDSL (CD Shredder Light)
・CD棄感激 (しできかんげき:CDのデータを破棄できて安心感激)
■ネーミング募集に反響大(2/2)
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9月25日、お昼頃に自社ページに募集案内を掲載し、同時にリリースを配信
した。数時間してWEBニュース媒体に記事掲載されると1〜2分毎にネーミン
グが集まってきた。応募作品は、
「傷だらけのローラー」「傷と共に去りぬ」「CD滅裂」「永久欠盤」「CleanCD
4」「Easy CD Crusher」「全消記録」「刻板消し(こくばんけし)」「完全盤
済」「CD欠命(CDかくめい)」「記録喪失」 明らかなボツネーム狙いの
ものもあり読んでいて楽しい時間を過ごすことが出来た。
8個の候補名への投票は消去隠滅がトップ。最終的に採用したネーミングは
「記録喪失」となった。同じネーミングで4名の応募があったので大賞はグー
チョキパーを○△□で20個書いてもらうインターネットじゃんけんをして大
阪の方に決定した。ボツネーム賞は読んだ瞬間に一番笑った「板・多い日も安
心」を採用した。
苦し紛れで行ったネーミング募集であったが、思った以上の反響でブログ等で
もチラホラ書いてくれる人もいた。10月に正式に製品発表を行い、そのリリ
ースの中で募集の結果も発表した。
記事掲載の中には「イーレッツの製品名決まる」と製品そのものよりネーミン
グ募集の結果を主に書かれた記事もあった。「おいおい、それはやりすぎだろ
う」とも思ったがアクセスログを見ると記事ウケはよかった様だ。
結果としてネーミング募集と製品発表と一粒で二度美味しいリリースとなった。
製品は1年後にバージョンアップした「記録喪失II」を発表し、今年の4月に
は個人情報保護法の追い風もあり販売数も増えた。期待以上にロングセラーの
シリーズになってくれた。
☆──[今回のまとめ]────────────────────
1.発売延期の危機も発想の転換でプラスに。
2.ネーミング募集はユーザーとのお祭りイベントになる。
3.2回の発表で告知効果も増加する。
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│12│奥川浩彦の「走るITベンチャー広報」………………テレビから取材依頼
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■突然やってきて時間も長い(1/2)
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前回までネーミングにまつわる話をした。イーレッツに来る取材の多くは、こ
のネーミングに関することだ。5月にも東京のキー局からネーミングに関する
取材を受けたので今回はテレビ取材の話をしよう。
今回も雑誌に掲載されたユニークなネーミングの記事がきっかけで取材依頼の
電話が入った。最初は製品を貸す程度かと思ったが、最終的に名古屋まで撮影
に来ることになった。前日の夜9時過ぎの電話で「朝一番で訪問したい」との
ことだった。
翌週の放送とあって、先方も一日でも早く録画を済ませたい様だが、こちらも
デモ用の製品を用意する時間が必要なので10時過ぎに変更してもらった。過
去にもWBS「トレタマ」から明日東京で撮影と電話が入ったが、雑誌と異な
りテレビ取材は急な日程を要望されることは少なくない。
今回の内容はクイズ形式の番組で、どのネーミングが本当で、どれが嘘かを出
演者が当てるらしく、その出題にイーレッツの製品を使用する。
空気清浄機「エアフォース・ファン」を題材に、ボツネームとテレビ局が考え
てきた架空の製品名「清浄機より禁煙なれ」「エアー・冗談」「ファン流ブー
ム」にそれらしいコメントを喋る企画だ。
まずはテレビ局で考えてきた番組構成とコメントを確認。架空製品名に関する
コメント部分は番組趣旨と照らし合わせて修正を提案、より本物らしいコメン
トを数テイク収録した。
それ以外の製品や全般的なコメント、実際の放送で使うか否か分からないコメ
ントも保険として撮影し、およそ2時間ほどで撮影は終了した。とは言え撮影
用の製品の準備から撤収まで入れると半日以上の拘束時間だ。
■局側の想うイメージを把握する(2/2)
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テレビ取材は実際の放送時間は数分だが、撮影は数時間に及ぶことが珍しくな
い。事前に打ち合わせがある場合は、そこでも拘束されるのでトータルでは1
日以上かかることもある。雑誌やラジオと比較するととにかく長いので覚悟が
必要だ。
撮影環境も雑誌取材と比較すると制約が厳しい。雑誌のインタビューは近くで
電話がなったりアクシデントが発生しても写真とテキストでは問題なく進行す
る。動画は場合によっては撮り直しになるので取材に来てもらう時は撮影環境
に注意しよう。
専門誌の取材は事前にこちらのことを理解しているケースが多い。今回の取材
は特に偏りはなかったが、テレビの場合、局側で放送したいイメージが決まっ
ていて、それに合わせて取材申し込みをされることも少なくない。
「新入社員にダジャレを教育するシーンが撮りたい」「名古屋の会社だから業
績が絶好調で社風はケチで…」等々、取材依頼の電話の段階で放送内容が決ま
っていることも珍しくない。
朝からエビフライを食べて、社員は「ミャーミャー」名古屋弁で会議をして、
コンビニで値切ったりするシーンを撮れば理想的な番組かもしれないが、筆者
の住む名古屋では見たことがない。
超有名な報道番組からも似たような取材依頼が入り断ったことがあるが、この
辺りはそれぞれの考え方なので適宜判断して対応するしかない。数人のベンチ
ャーならいいが、ある程度社員数のいる会社では後々の社内トラブルになるこ
とも考えられる。
テレビが全てとは言わないが、サラリーマンの街頭インタビューは何故か新橋
駅(それも西口)と決まっている番組が多いのを見ると、放送側のイメージが
先にありきで取材依頼が来ることはある程度心得ておきたい。
☆──[今回のまとめ]────────────────────
1.テレビ取材は突然やってくる
2.放送は数分だが、収録は数時間に及ぶ
3.放送したいイメージが元々決まっていることが多い
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|13│奥川浩彦の「走るITベンチャー広報」…今年もUSB扇風機の季節です
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■世界初、USB扇風機(1/2)
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イーレッツ恒例のUSB扇風機の季節がやってきた。今回は6月20日に発表
したライト切替式USB扇風機「風光迷微2」の発表を振り返ってみたい。
今ではパソコンショップの定番となっているUSB扇風機について説明しよう。
2001年、イーレッツがスタートしUSB携帯充電ケーブル「充電一直線」
を発売してしばらく経った頃、インプレスのAKIBA Hotolineの
石橋編集長と雑談する中でUSB扇風機の提案をいただいた。
電池で動く扇風機を何台か雑貨店で購入し改造を試みた。モーターを分解しブ
ラシ構造を確認したり、耐久性を評価し機種選定をした。販売元から見積を取
り寄せると200円程度だったと記憶する。
USBへの改造を依頼するが、そもそもUSBの意味も理解してもらえず、中
国で作ると40フィートコンテナ分で何万台ロットでしか製造できないと断ら
れた。扇風機に限らずUSB化の最初の壁は「相手にされない」からいつも始
まる。
標準品を購入し自力で改造することにした。ブリスターパッケージを開梱し、
本体を分解、ケーブルを通す穴を加工し、電圧を調整する抵抗を半田付け、新
たに用意した梱包箱に入れ製品化した。用意した部材と外注に依頼した作業費
は扇風機本体の数倍となり原価は1000円前後になった。
いったい何台売れるのか誰も分からなかった。500台限定とし発表すると
「世界初のUSB扇風機」として大いに取り上げられた。今でもYahoo等
で「世界初 USB扇風機」と検索すると最初のページにこの製品がヒットす
る。
あっと言う間に完売し、大した売上げではなかったが知名度は飛躍的に向上し
た。数年が過ぎ今では海外でもUSB扇風機はパソコンショップの定番となっ
ているらしい。提案してくれた編集長は後日「イーレッツがなくなってもUS
B扇風機の歴史に会社名は残る」と笑っていた。
■記事にするためのネタを開発(2/2)
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その後進化を続け、パソコンから風力をコントロールする機能を持たせたもの
やオフシーズンに扇風機ヘッドを照明に切り替えられるものなどを製品化した。
イーレッツの夏の風物詩となり季節が近付くと出版社から「今年の扇風機は…」
と問い合わせが入る様になった。USB扇風機はパソコンショップでは何種類
も並んでいるが誌面上はイーレッツの扇風機は別格の扱いをしてもらっている。
そして今年の風物詩の開発は寒い頃にスタートした。昨年発売したライト切替
式USB扇風機「風光迷微」は完成度が高かった。そのまま売り続けても製品
としては問題ないが、IT業界のネタとして何かしらの進化を期待されている。
この期待にどう答えるかが今年のテーマだ。
まずはモーターの回転数のアップを試みた。昨年モデルが無負荷時6000回
転。サンプルとして7200、8000、10000、12000回転のモー
ターを特注で作った。10000回転以上は強烈な風力を実現したが、振動で
本体が動き出す始末で製品化は難しい。最終的に8000回転のモーターを採
用した。
並行してビニール製の羽の形状を改良しようと試みた。羽の径を大きくしたり
形状を変更することで風力や静音化の向上を狙ったがこちらは従来の羽を超え
るデザインを見つけることができなかった。
う〜ん、回転数アップだけではネタ不足。考えたあげくボツにした10000
回転のモーターと挫折した羽の形状を合わせて「風光迷微チューンアップキッ
ト」として発売することにした。内容物は高回転モーターとユーザーが羽を自
作するためのシート。こんなものを買う人が何人いるのかと思いつつ、雑誌社
が記事にするネタと割り切っての製品化だ。
製造元の中国の会社には「ロットが少ないから特注モーターは作りたくない」
と一旦断られるが、「ネタだから高くてもいいから作って」とお願いし口説き
落とした。製品の開発は終了。いよいよ広報活動開始だ。
☆──[今回のまとめ]────────────────────
1.意外なところで歴史に残る?
2.記事ネタを意識した製品開発
3.失敗も少しひねるとネタになる
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|14│奥川浩彦の「走るITベンチャー広報」……………………広報は足で稼ぐ
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■広報活動の基本はデモ活動(1/2)
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前回はUSB扇風機の製品化について書いた。今回はその製品の広報活動につ
いて触れてみたい。活動開始は5月後半。発表の1ヶ月前だ。
実は同じ6月20日発表の製品を広報支援することになった。パイオニアのド
ルビーサラウンドヘッドホン「SE−DIR2000C」のIT系媒体の広報
を私が担当し、オーディオ誌や一般誌、新聞は他の代理店が担当することにな
った。
記事掲載のターゲットとして6月20日以降の紙雑誌を意識した。具体的には
24日、29日売りの雑誌だ。丁度1ヶ月前5月20日を前後して前号が校了
する。6月末売り号の誌面作りが始まる5月末は記事を売り込むには最適の時
期となる。
パイオニアのドルビーヘッドホンは6月発表、7月後半の出荷なので翌月の記
事掲載でも問題ないが、季節ものである扇風機はできるだけ6月末に掲載して
もらいたい。WEBは当日掲載なので充分時間があるが、紙雑誌は該当するペ
ージが埋まる前にアプローチする必要がある。
ドルビーヘッドホンとUSB扇風機を持って雑誌社を回る。編集部によっては
担当が異なる場合もあるが、その辺りは長年の経験で、あの人は自宅にプラズ
マ持ってる、この人はいつも仕事中にヘッドホン使っている、昨年の扇風機は
誰々が書いてくれた等々を考え行動する。
扇風機は昨年モデルと今年のモデル、更にチューンアップキットの10000
回転の強烈な風力を体感してもらう。いくら紙で説明しても体感しないと差は
実感しない。読者一人々々に体感してもらうことは出来ないのでそれを伝える
編集の方々に体験してもらう作戦だ。
■とにかく足で稼ぐ(2/2)
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ドルビーヘッドホンも同様だ。DVDの音のいい場面を選んで実際に聴いても
らう。更にリビングでもパソコンでもゲームでも使えると強調し、パソコン誌
の読者も興味があると記事提案を行った。
どちらも共通するのが、紙で説明するより体感してもらうのが大切と言うこと
だ。IT化が進んでメール1本で済むことが増えているが、製品の良さや特徴
を伝えるには実際に足を運んで体感してもらうのが一番だ。
もっと言えば、編集部には毎日数百のリリースが届く。その中に埋れないで記
事にしてもらうにはインパクトが必要だ。実際に触れた製品なら、突然メール
で届くリリースよりはるかに記事にしてもらえる可能性は高くなる。
実際の活動は水曜〜金曜の3日間で雑誌社を訪問した。IT系の雑誌社は概ね
仕事時間が遅い。午後から回り始め、初日、二日目とも最後の編集部を出たの
は夜11時過ぎ。
最終日は9時過ぎまで編集部を回って新幹線で名古屋に戻る。3日間二十数誌
のデモを行い、何誌か貸出機の依頼を受けこの週は終了。その後も先方の都合
等で回りきれなかった編集部を発表までに訪問しデモを行った。
発表を翌週に控えた金曜日、朝のワイドショーで「フジテレビは今日からクー
ルビズ」にピクっと反応。漫画「常務 島耕作」のテーマもこの週はクールビ
ズ。週末自宅でリリースを書き換え「クールビズの必須アイテム」と追加した。
週末のうちにWEB系の媒体に最終のリリースを案内し準備完了。
6月20日昼頃メール配信を行う。夕方、日経新聞の記者から問い合わせが入
り質問に回答。クールビズの言葉がウケて産業新聞1面に写真入りで掲載され
た。問い合わせの電話が何本も鳴った。企業からノベルティとして500台の
注文も入った。WEBニュース媒体は再配信も含めて20以上掲載された。パ
イオニアのドルビーヘッドホンも順調に掲載された。しっかり準備して汗をか
いて回ると結果は出るものである。
☆──[今回のまとめ]────────────────────
1.広報の基本はデモ活動
2.製品を担いでとにかく足で稼ぐ
3.旬なキーワードで露出アップ
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|15│奥川浩彦の「走るITベンチャー広報」………………媒体のスケジュール
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■発表日と出荷日の関係(1/2)
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前回USB扇風機の広報活動を発売1ヶ月前に開始したと書いた。何故1ヶ月
前なのか。今回は広報活動を行う際のスケジュールについて具体的に話してみ
たい。
まず発表日を決める最大の要素は出荷日だ。出荷日と発表日の関係を考えてみ
たい。私が以前勤めていたメルコ(現:バッファロー)は出荷日が発表日から
1ヶ月ほど経っていることが多かった。
今回広報支援を行ったパイオニアのドルビーヘッドホンも6月20日発表、7
月21日出荷と1ヶ月の時差があった。これに対しUSB扇風機は発表した週
に出荷を開始した。
筆者もメルコ時代には漠然と発表を出荷の時差を容認していたが、ベンチャー
として広報と販売を見ると発表即出荷の方が望ましいと感じている。製品の価
格にもよるが、発表を見て買いたいと思ったユーザーはそのままマウスをポチ
ッとクリックしたいものだ。
大手の場合、出荷までの間に販売店への活動期間が欲しいとか種々の理由があ
ると思われるが、我々の製品に関しては発表日と出荷日が近い方が売り上げが
好調な傾向がある。逆に発表しインターネットで受注してから出荷までに数週
間を過ぎた場合キャンセルするユーザーも少なくない。
かつてのWindows95、プレステ2、ファイナルファンタジー等々社会
的影響が大きなものやイベントとしての盛り上げ期間が必要なものは別格とし
て、通常の製品で特に間を空ける必要がなければ出荷日に合わせて発表する方
が望ましいと思われる。
■広報活動は1ヶ月前に開始する(2/2)
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USB扇風機の発表日を20日にしたのは出荷日の影響だけではない。パソコ
ン誌でモノ系の掲載が多いのは29日売りの雑誌だ。この日を超えると1ヶ月
後になってしまう。製品のジャンルと媒体のマッチングも意識して20日とし
た。
その29日売り号のスケジュールは、校了が20日前後。5月の20日頃前号
の仕事が終わり26日頃刷り上がった雑誌が編集部に積まれる。それを確認な
どしながら月末頃に「次の号は何をやろうか」と具体的に活動が始まる。同じ
29日売り号でも編集部で1週間くらい差がある。ここでは書けないが11月
の講演会等では具体的な事例でお話ししよう。
この時タイミングよく製品の情報を渡せれば掲載される候補となる。仮に画像
や詳細が用意できなくても概要のアナウンスをするだけでもページを確保して
もらえる可能性は高い。事実ドルビーヘッドホンの画像が用意できたのは6月
10日頃だったが、事前にデモを行っていたので「○○日までに画像お願いし
ます」と依頼を受けたりした。
WEB系の媒体や新聞系は直前で大丈夫だ。紙媒体を回ったついでに同じビル
にWEB系の編集があれば訪問してアナウンスする。ついでに発表を予定して
る日の他社の状況も確認する。
大手が大きな発表を控えている様であれば掲載確率が落ちるので日程を変更す
ることもある。ちなみに6月20日は月曜。そう、月金は一般的に発表が少な
い。ベンチャーとしては狙い目の曜日だ。
他社の広報支援をしていると、とにかく情報が二転三転しスケジュールが進行
しない。紙媒体で予定した日程に発表が間に合わず掲載を止めてもらうは極め
て失礼だ。多少の変更は可能だが、1ヶ月前には記事を書くための情報をフィ
ックスしアナウンスできるようにして広報活動を開始することをお奨めする。
☆──[今回のまとめ]────────────────────
1.発表日と出荷日の関係を考える
2.ベンチャーは発表即出荷の方が売れる
3.広報活動は1ヶ月前に開始する
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|16│奥川浩彦の「走るITベンチャー広報」……………PDFって便利ですか
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■メールによるリリース配信方法(1/2)
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ベンチャー広報活動の主体は訪問だと思っている。とにかく足で稼ぐのを基本
としている。実際には大手でも積極的に訪問している広報は評判がいい。あえ
て具体的な社名を上げるとバッファローとアイ・オー・データ機器のライバル
2社を比較するとバッファローの方がかなり評判がいいように思われる。
事前に訪問してデモ等を行い、最終的にメール、FAX、郵送等で発表を行う
のが一般的であろう。新聞系ではまだまだFAXや郵送を望むところもあるよ
うだが、IT系の出版社に対する発表はメールが主体になっている。
今回はメールによる発表について考えてみたい。イーレッツの発表はテキスト
メールが基本だ。一般ユーザーも閲覧できるリリースをホームページに公開し
そのURLと製品画像のURLを文面に記載してメールを送っている。テキス
トメールの文面はここでは書けないが、リリースで一般公開できない裏話を盛
り込んだりしている。
バッファロー、アイ・オー・データ機器、プラネックス等の周辺機器メーカー
も同じ方法を採用している。ホームページにはHTMLのリリースと画像が用
意されている。これは一般ユーザーでも閲覧やダウンロードが可能だ。メーカ
ーによっては一般ユーザーには公開していないが、出版社向けに画像を公開し
ているケースもある。
こうすることで編集者は製品の詳細も画像も容易に入手可能となる。二次的な
効果として販売店がチラシに掲載する時にも製品画像を利用することが出来る。
バイヤーがメーカー営業に依頼し、営業が広報に依頼するケースと比較すると
大幅に効率が上がることは理解できるであろう。
先日、広報支援した企業は全てのリリースをPDFでホームページに公開し、
製品画像はホームページには公開していない。リリースをFAXで送って問い
合わせが来た出版社には画像をメールではなく郵送するのがルールらしい。
この話をWEBニュースの編集者にすると「たまに郵送しますって言われると
ありがとうございますと言いながら、本音は送らなくていいよって言いたい」
と言っていた。月刊誌はともかく、当日あるいは翌日掲載の媒体に郵送するっ
て発想は筆者には理解しがたい。
■PDFは編集者には迷惑(2/2)
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広報支援を行っているとPDFを利用したがる企業が意外に多いことが気にな
っている。記事を書く側からするとPDFは迷惑だと説明するが、大企業ほど
ルールだと言って変更が出来ない。
ひどいところはPDFをメール添付で送ってくると聞く。開いたPDFがテキ
ストだけだったりするとあきれると言う編集者もいる。毎日数百のリリースを
受け取る編集者にとって重いPDFは迷惑なケースが多い。もし仕事で受け取
るメールが全てPDF添付できたらと想像すると恐ろしい感がある。まして数
百kの画像ファイルを添付して送りつけるのは論外だ。
PDFを嫌う理由は他にもある。HTMLで掲載されたリリースは容易にコピ
ー&ペーストできる。メーカー名、社長名、製品型番、電話番号など間違いが
許されないところはコピペしたいものだがPDFだと全て編集者が入力しなけ
ればならない。FAXによるリリースも同様だ。
日経プレスリリース( http://release.nikkei.co.jp/ )というサイトがある。
数千の企業リリースをそのままテキストで公開しているページだ。ここの担当
者にすればHTMLとPDFでは作業量が桁違いであることは容易に理解でき
るであろう。
大手企業が価値ある製品を発表するなら編集者は必ず掲載するであろう。名も
ないベンチャーのリリースがHTMLとPDFで目の前にあった場合、どちら
が編集者にとって好ましいかを考えていただきたい。
決算発表等、グラフや表組みレイアウトを変更したくないケースでpdfを利
用するのは理解できる。もしワードやパワーポイントで作成したリリースをP
DFが簡単と言う理由だけでルールとしているなら再考してみてはいかがであ
ろうか。広報担当者一人は楽になるが多くの編集者は負担になっていることに
気付いて欲しい。
☆──[今回のまとめ]────────────────────
1.リリースのメール配信にはファイルを添付しない
2.製品画像はホームページに掲載しURLを知らせる
3.リリースはPDFよりHTMLで掲載が望ましい
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|17│奥川浩彦の「走るITベンチャー広報」…………………製品写真について
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■製品写真の撮影(1/2)
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前回pdfのお話しをしたので、今回は広報支援で苦労することの多い製品写
真について考えてみたい。私が広報を始めた10年ほど前は紙焼きやポジフィ
ルムが主流だったが、現在では画像が中心になっている。数年前まではポジを
希望する媒体もあったが、最近ではIT系の媒体だけでなく新聞社等でもデー
タで提供すれば対応してもらえる。
扱う製品によって画像は異なってくる。ハードメーカーは撮影が必要になるが、
ソフトメーカーはパッケージの画像を合成すればいいし、ネット系だとキャプ
チャー画像が中心となる。やはり手が掛かるのは実際に撮影が必要なハードメ
ーカーであろう。
イーレッツでは私が製品の撮影も担当している。広報支援するメーカーの製品
も時々撮影をしている。撮影は特別に上手くもないが、取りあえず誌面掲載に
は問題ない程度の画像は用意できている。
さて、問題のない程度の画像とは。まずは解像度。インターネット媒体では8
00×600程度で充分であろうが、紙媒体ではどの大きさで印刷するかにも
よるが1600×1200以上が望ましい。フォーマットはJPEGで問題な
い。
もう少し大きな画像を希望されることもあるが、概ねこのサイズがあれば問題
ないと思われる。誌面で大きく扱ってもらえる時は、雑誌社が自社撮りするケ
ースが多い。最近はデジカメの画素数が増えたので普通に撮影すれば2000
×1500以上の画像を用意することは容易であろう。
解像度の次に重要なのは写り。最低限、背景を単色にして撮影したい。撮影は
プロに依頼すれば間違いないが、コストを抑えたければ社内で撮影しても問題
はない。筆者はデジタル一眼レフを使用しているが、蛍光灯下で三脚を使用す
ればコンパクトデジカメでもそこそこ撮れると思われる。バックは専用のペー
パーも高くないし小物であればコピー用紙でも充分であろう。
撮影テクニックは雑誌やネットで探せば簡単に見つかるであろう。製品をよく
見せるのに画像は重要だ。絵があった方が記事にしやすいと言う編集者は多い。
広報活動全体の中では難易度は低いのでチャレンジしてみる価値はある。
■画像の配布方法(2/2)
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前回pdfや画像を添付したメール配信はよくないと書いた。もう少し具体的
に説明しよう。テキストメールであれば数キロバイトであるが、画像を添付す
ると数百キロバイトになってしまう。
編集者も担当によってそのリリースが必要な人と必要でない人がいる(必要な
い場合が多い)。時として外出先でモバイル環境だったりすると迷惑になるこ
とも考えられる。
実際に各社のホームページには以下のように画像が用意されている。
http://www.e-lets.co.jp/press/photo_besilent.htm
http://buffalo.melcoinc.co.jp/download/photo/index.html
http://plaza.iodata.jp/cgi-bin/press/photo.cgi
http://www.planex.co.jp/poji/
各社考え方はそれぞれあるが、画像のURLをテキストメールに記載すれば、
必要な人だけ見ることが出来る。上記は一般公開されている例だが、出版社向
けにURLを公開しているメーカーもある。
新製品の発表時だけでなく、記事掲載用に画像の問い合せが電話やメールで入
ることは少なくない。その時は本人が希望しているのでメール添付でも問題な
いし、希望製品のURLを教えてもいいと思われる。
電話での問い合せの場合は「ホームページにあります」と答えてはいけない。
「メールでお送りますのでアドレスを教えてください」と返答すれば、また一
つ編集者のメールアドレスが増やせるチャンスである
☆──[今回のまとめ]──────────────────────
1.製品写真は紙焼き、ポジから画像データが主流に
2.紙媒体ではある程度の解像度が必要
3.リリースに画像を添付しない。URLをテキストメールで送る。
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|18│奥川浩彦の「走るITベンチャー広報」………………深夜プロモーション
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■出版社は夜型が多い(1/2)
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筆者の生活は夜型で、早起きは苦手だ。幸いIT系の広報活動を行う上では夜
型であったことはラッキーかもしれない。今回はそんな視点で広報活動を考え
てみたい。
10年前、メルコ(現:バッファロー)に入社した。入社1ヶ月くらいは大し
た仕事もなく8時前には退社していた。その頃気になったことは、同じ部署の
女性二人が何時に帰宅しているかということだった。
数ヶ月後には自分も深夜残業が当たり前になり、タクシーで帰宅することは珍
しくなくなった。数年を経ると、女性が泊まりで仕事をしていることを疑問に
思わない自分がいた。全てのIT企業がそうだとは思わないが、傾向としては
長時間労働が多い業界だと感じている。
広報でお付き合いしている出版社も夜型で活動していることが少なくない。月
刊誌の校了時期になると数日泊まり込みしている女性記者も珍しくない。好き
じゃなきゃ出来ない仕事だと頭が下がる想いだ。
広報を始めた頃は、編集の方々の生活リズムを理解せず午前中にアポを取った
りしていた。編集部に着いても誰もいなかったり、わざわざ会ってもらった方
が他に誰もいないので電話番になってしまい話をする時間がなかったりもした。
最近はアポなしで訪問するケースも多いのだが、当時は広報になったばかりで
顔見知りの編集者もほとんどいなかったため各編集部にアポを取っていた。そ
れも夕方までの時間だったので1日に訪問できるのは3〜4誌だったと記憶し
ている。
■訪問する時間をシフトして効率アップ(2/2)
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現在は媒体によって午前中から出社されているところと、午後から出社される
ところを概ね理解して、先方のリズムに併せて活動している。全般には午前中
から会えるところは少ないが、夜7時以降に訪問して違和感のない編集部はか
なりあるのが実情だ。
仮に普通の企業が9〜18時で活動するとして、相手となる出版社が13〜2
2時で活動していると接点は4時間しかなくなってしまう。以前聞いた話では
家電メーカーがカラオケ機器の販売を始めた時の最初の壁は、訪問するスナッ
クは夜から朝まで営業していることによる時間のズレだったという。
IT系の広報活動はある程度時間をシフトしないと効率が上がらない。編集部
を回る時は午後スタートで深夜まで訪問することが珍しくなくなった。結果と
して訪問件数が数倍になった。上手く回れると3日で40誌くらいになること
もある。
一般企業に夜9時過ぎに「今からお伺いしても…」とアポを入れることは考え
難いがIT系の編集部ではそれほど違和感はない。もちろん初対面で訪問する
時は概ね18時くらいまでにしているが、付き合いが長くなり相互の理解が得
られれば時間効率は飛躍的にアップする。
訪問件数が増えたのは時間をシフトしたことと、顔見知りが増えたことだ。知
らない編集者にはアポなしで「コンチワー」と会いには行けない。深夜に訪問
することも難しいであろう。
結局、訪問することが更に訪問しやすい関係作りにつながり訪問件数の増加に
発展する。これは一般の営業活動と通じるところであろう。汗をかいて足で稼
ぐと結果につながると確信している。
☆──[今回のまとめ]────────────────────
1.出版社は夜型が多い
2.訪問する時間をシフトして効率アップ
3.訪問件数を増やすことで更に訪問しやすくなる
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|19│奥川浩彦の「走るITベンチャー広報」……………………記事を演出する
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■アニメGIFで動きを演出(1/2)
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8月末にいつも広報をお手伝いしているマイタンの携帯フィギュアの発表をし
た。今回の目玉は携帯の発着信に反応して光るフィギュアだ。この新製品のリ
リースをどう演出したかをご紹介しよう。
従来の製品は本物の携帯電話との比較や拡大した時の精細な造りをアピールし
てきたが、今回はLEDの点滅という動きがポイントだ。LEDの点灯してい
る画像を使用する手もあるが、実際の製品をイメージさせるには少々物足りな
い感がある。
イーレッツでは過去にUSBクリスマスツリーや空気清浄機で動画を使用した
ことはあった。一つの選択肢は動画であるが、ファイルサイズが大きくなる欠
点がある。
もう一つの選択肢としてアニメーションGIFがある。パラパラ漫画と同じで
動きの滑らかさには欠けるがファイルサイズは圧倒的に小さくなる。LEDの
点滅という単純な表現であれば充分と考えアニメーションGIFを作成するこ
とにした。
素材は実際に撮影を行う。方法は多々あると思われるが、LEDが点滅してる
状態を連写して点灯している瞬間と、そうでない瞬間を選択して使用すること
にした。何度も撮影し全体の照明とLEDの光具合のバランスのいい画像を使
用した。
左右のLEDが交互に点滅するので消灯、右点灯、左点灯の3枚の画像を選択
し、フォトレタッチソフトで位置を重ね合わせ明るさ、色バランスを調整する。
3枚の画像を実際の製品の点滅するイメージに近付けるように時間配分を試し
て最終決定した。
■記事になるイメージを考える(2/2)
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アニメーションGIFの作成と聞くと難しく思うかもしれないが、筆者も初め
ての経験だった。フリーソフトをダウンロードして試行錯誤で完成させたが1
時間程度で出来たと記憶している。
サイズを100、200、400ピクセルと3サイズ用意した。媒体によって
好みのサイズがあると思われるのと、記事一覧のサムネイルと記事中の画像と
で使い分ける可能性をイメージした。完成したアニメーションGIFはWEB
媒体に発表前に提供した。
実際に記事になったのは200ピクセルが多かった。実際の記事では以下のよ
うにアニメーションGIFが使用されている。
http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/0508/29/news023.html
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/25404.html
http://k-tai.ascii24.com/k-tai/news/2005/08/29/657452-000.html
http://bcnranking.jp/products/01-00003787.html
http://japan.internet.com/allnet/20050830/4.html
マイタン社のホームページでは400ピクセルを使用して製品の紹介をしてい
る。大きい分だけファイルサイズも大きくなるが見た目の印象は強い。
http://www.maitan.jp/image/mfc4_400.gif
媒体によっては自社でアニメーションGIFを作成して掲載してくれそうなと
ころもあったが、こちらで準備することで多くの媒体が同じ画像を使用してく
れた。チョットした演出で編集者も読者も印象がことなったと思われる。同じ
製品でも広報の演出で結果に差が出る。広報文、画像、プラスα…一工夫を考
えてみよう。
※今月のマスコミ夜話会は筆者が講師です。よろしくお願いいたします。
http://s-pr.com/yawakai/event.php3?id=41
☆──[今回のまとめ]────────────────────
1.アニメーションGIFで動きを演出
2.記事になるイメージを考え素材を造る
3.広報文、画像等も一工夫が重要
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|20│奥川浩彦の「走るITベンチャー広報」…………………ブログ始めました
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■編集者との距離(1/2)
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IT系のニュース媒体「ITmedia」さんから依頼があり9月からブログ
を始めた。ブログと広報に関してはこのサイトで執筆されている前野智純氏の
「ブログ広報」を読んでいただくとして、筆者が感じていることをお話しした
い。
ITmediaではコンシューマ系サイトである+Dのブログ
( http://plusdblog.itmedia.co.jp/ )とエンタープライズ系の
( http://blogs.itmedia.co.jp/ )でブログを掲載している。筆者は+D
の方で執筆を行っている。
執筆者はライターの方、編集部の方、企業系の方に大別できる。ライターと編
集者はその道のプロなのだが、企業系の執筆者は筆者も含め普通の人である可
能性が高い。その企業系の執筆者の中に広報関係者が含まれている。
広報関係の会社の代表者
大橋みどり氏 http://blogs.itmedia.co.jp/legend_pr/
舩津 章氏 http://blogs.itmedia.co.jp/fixitm/
元大手企業の広報からベンチャーを設立
九鬼隆則氏 http://plusdblog.itmedia.co.jp/dc/
広報に長けた企業の社長と専務
ソリッドアライアンス http://plusdblog.itmedia.co.jp/sushidisk/
おそらく日頃から広報として編集者との距離が近かったので、「書きませんか」
と編集部から依頼があったと思われる。そうであれば広報として編集部に満足
してもらえている可能性が高い。
■ブログを広報に活かす(2/2)
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ちなみに筆者は大橋さん以外の方とは面識があり、舩津氏、九鬼氏、ソリッド
アライアンス社はオフィスにお邪魔したことがある。舩津のサイトはIT系広
報担当なら定期チェックが必須と思われ、IT系媒体を理解する上でも大変参
考になる。
ソリッドアライアンス社はUSB寿司メモリーやエビフライメモリーで有名な
企業で元大手フラッシュメモリーメーカーから独立した方々で運営されている。
広報活動に長けた会社で、ウケと狙う広報戦略としては現在トップクラスの1
社だ。
企業におけるブログで代表的なのは経営者自身が書くブログがある。この場合
その企業のホームページのアクセスが少ないとブログへのアクセスも少なくな
ってしまう。逆にブログ自体が人気となりホームページのアクセスが増えるケ
ースも期待できるが、劇的な効果はすぐには期待できない。
ITmediaのブログはニュース媒体という、一般の企業とは桁違いのアク
セスがあるサイトに掲載されているので露出効果が期待できる。スタート3週
間ほどで「イーレッツ」やタイトルである「あのイーレッツ」でGoogle
で検索するとこのブログサイトが上位に出てくるのでそこそこのアクセスだと
思われる。
現在はこのブログで書く内容は模索中であるが、自社、他社の広報活動に生か
せればと考えている。リリースを流して記事掲載してもらうほどではなくても
ブログなら書けることは沢山ある。筆者の広報活動の一端もここで紹介してい
る。 http://plusdblog.itmedia.co.jp/okugawa/2005/09/post_3fc5.html
但し、企業サイトにある更新情報の様に「バージョンアップのお知らせ」「事
務所移転のお知らせ」等々その先に興味がわかない内容ではなく、それなりに
読む価値のある内容でないと面白味に欠ける。読者あっての媒体であることを
忘れないようにと考えている。それは企業サイトに通じるところは多々あるの
で、書き続けるネタと根性があれば、ブログの活用は広報活動の一つになると
感じている。
※来週10月27日のマスコミ夜話会は筆者が講師です。よろしくお願いいた
します。http://s-pr.com/yawakai/event.php3?id=41
☆──[今回のまとめ]────────────────────
1.編集者との距離が近ければチャンスは増える
2.ブログでは読む価値のある内容を提供する
3.ブログを広報活動に活かせる可能性は大きい
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|21│奥川浩彦の「走るITベンチャー広報」…………………低価格製品の広報
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■低価格製品の広報(1/2)
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9月26日に株式会社ラナから発売された、ディズニーキャラクターをデザイ
ンしたiPod、iPod mini、iPod shuffle用カスタムステッカーの発表をお手伝
いした。今回はこの発表を振り返る。
株式会社ラナとは8月に発表したナイトメアをデザインしたiPodの広報をお手
伝いすることから始まった。いざリリースが近付いてホームページで掲載する
だけでは効果が期待できない(受注が取れない)と考え、急遽数日前に筆者に
依頼がきた。
8月末まで受付し、受注生産となる製品なので、この時点ですでに8月になっ
ていたから紙媒体は無理だとアドバイス。最終的にインターネット媒体だけ1
誌掲載で○万円と成功報酬制で広報支援を行うこととなった。発表日まで実働
4日だったがこちらで追加の写真撮影もして配信も含め10誌以上掲載されク
ライアントも満足してもらえる結果となった。
これをきっかけに長期的に広報支援を行うこととなり、この会社の扱う製品全
般の説明や今後の製品の計画等をヒヤリングし色々な角度から広報、宣伝をア
ドバイスし始めている。
今回の製品は世界的に人気キャラクターとして定着している「ミッキー・ミニ
ー・プー・マリー・ナイトメア」のiPod、iPod mini用の5種類のホイールス
テッカーとiPod shuffle用のカスタムステッカーだ。
単価は760円〜1000円、モノを貼る相手はIT系のMP3プレーヤーだ
が所詮シールなので大々的な記事の扱いは期待できない。媒体によっては記事
にしてもらえるが、多くの媒体では読者プレゼントに掲載してもらえれば成功
と考えられる。
■ペイドパブに読プレを(2/2)
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前回の4日よりはましだがこの製品も発表、出荷まで2週間しかない。こちら
の希望としては画像、リリース、実際に製品を貼ったiPodと配るサンプル等々
の依頼をしたが、広報活動に不慣れなこともあり材料が不足していた。
雑誌社回りの直前に3時間ほど先方で最低限の準備をして夕方から訪問を開始
した。翌日の晩までで20誌ほど案内をして回った。どんな感じで回っている
かはこちらのブログで紹介しているので参考にしていただきたい。
http://plusdblog.itmedia.co.jp/okugawa/2005/09/post_3fc5.html
結果も同じブログで紹介している。
http://plusdblog.itmedia.co.jp/okugawa/2005/09/ipod_e016.html
訪問開始が遅れてしまったので、回りきれなかった媒体があったのは残念。翌
週はリリースに向けてホームページのHTMLや画像ページの準備だ。不慣れ
とは言え、クライアントの若い担当者は積極的、且つ柔軟なのでこちらも支援
はしやすい。今後は発表を重ねる毎に充実していく予感はある。
リリースを配信するとそこそこの掲載があり、クライアントには大手カメラ量
販からも販売の申し入れがあったようで成果もまずまずであろう。発表に引き
続き読者プレゼントのお願いを配信した。
低価格な製品はペイドパブ、読者プレゼントも有効だ。読者プレゼントは掲載
のハードルは低いが依頼から集計、発送までは結構手間がかかる作業だ。各誌
の読者プレゼント担当の把握等々それなりの経験、情報がないと時間効率が悪
くなってしまう。
携帯フィギュアのマイタンはこの手法を継続したことで、最初は携帯誌だけだ
ったが今では新聞、一般誌、ネットワーク誌にも読者プレゼントの掲載をして
もらえるようになった。この製品もWEB媒体と紙媒体で約30誌ほど提供す
ることになった。読者プレゼント自体の効果は微妙だが、1誌、2誌では無理
だと思われるが、多くの媒体に掲載されることは長期的には企業、製品の知名
度向上に役立つと期待している。
☆──[今回のまとめ]────────────────────
1.低価格製品にも広報手法はある
2.ペイドパブ、読者プレゼントも有効
3.小さな露出も継続すれば効果はある
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|22│奥川浩彦の「走るITベンチャー広報」…………リリースはA4一枚か?
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■リリースはどの媒体(読者)に発信するのか(1/2)
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リリースの書き方について考えてみたい。この題目はこのサイトを運営する蓮
香さんが得意とする分野で筆者がコメントをするのはおこがましいがIT系の
視点からお話ししたい。
一般的にリリースはA4一枚にまとめてと言われるが本当にそれが最適であろ
うか。実際には写真や仕様は別紙にしてA4一枚と書かれていたりするので、
本当にA4一枚が最適と言っている訳ではない。しかしながら「A4一枚」の
フレーズが一人歩きしている感もあり、広報担当として悩まれている方も多い
と思われる。
多くの諸先輩のアドバイスをまとめると、
・A4一枚程度に簡潔にまとめる(ダラダラ書かない)
・写真、資料等は別紙として添付する
が基本的な考え方で全てをA4一枚に詰め込めとは書かれていない。
これを基本としてIT系の製品のプレスリリースを考えてみたい。まずは掲載
される媒体側から見てみよう。どの媒体に掲載されるか。あるいは掲載された
いかによって内容は異なってくる。
新聞、一般誌、専門媒体によって掲載スタイルは異なってくる。また、紙媒体
とWEB媒体によっても異なり、それぞれの媒体の特性によっても異なってく
る。この辺りはリリースの内容と記事のフィッティングを意識する必要がある。
筆者が担当するIT系の製品はパソコン誌やIT系WEBニュースといった専
門媒体を意識して広報活動を行っている。リリースを読んだ専門媒体の編集者
が、筆者に対し質問の電話を掛けないで記事が執筆できることを基本と考えて
いる。それは最終的には記事を読んだ読者が疑問に思わないことにつながって
いる。
■広報のモチベーションは記事掲載(2/2)
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例えばパソコンの場合、新聞で記事になると「イーレッツ株式会社(本社…社
長…)はCPUにPentium−Mを搭載し省エネ、省スペースと静音性に
優れた「Be Silent××」を発売する。価格は7万円、初年度800
台を計画している。」くらいであろうか。
同じ製品を専門誌が書くと「イーレッツはPentium−M(○○MHz)
を搭載し××ワットと通常の1/5の省エネを実現し、タワー型パソコンの1
/10の体積、△△dBと静音性に優れた「Be Silent××」を発売
する。価格は7万円。同機はチップセットに…LANはギガビットに対応し…
インターフェイスは…とはるかに詳しい内容の記事になる。
雑貨品や食品であればスペック表も必要ないであろう。写真も代表的なカット
があれば背面のコネクター等を用意する必要はないと思われる。IT系では更
にシステム図がないと説明できないケースもある。専門誌の媒体特性(=読者
が求めるもの)が違うのでA4一枚では編集者も読者も納得できない製品が多
い。
キャッチや前文に関しては諸先輩の言われる通りで異論はないが、その先の本
文やスペック等の資料に関してはそれなりに情報がないと問い合わせが殺到す
ることになる。筆者の場合配布するときの紙資料ではキャッチと前文の間に画
像を貼り込んでいる。それは製品の理解のためと、記事掲載に使える画像が用
意されていることを編集者に伝える意味もある。
イーレッツで最初のパソコンを発表した際に書き忘れたのが付属するCD−R
OMの内容であった。ほとんどの問い合わせは「Linuxのドライバーソフ
トは用意されているか?」だったのであわててWEBのリリースのスペック表
に内容を追加した。
実際の筆者が用意するリリースはA4二枚程度が多く概ね三枚には収まってい
る。USB扇風機やクリスマスツリーは一枚だ。会って渡す、FAXで送る、
WEBで公開する、伝え方によっても受け取る相手の印象は異なってくる。ダ
ラダラ長いは論外だが、必要とする情報はきっちり伝えることが重要と思う。
☆──[今回のまとめ]────────────────────
1.リリースは伝える媒体(読者)を意識する
2.編集者、読者が納得できる情報が必要
3.A4一枚にこだわらず必要な情報を伝える
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|23│奥川浩彦の「走るITベンチャー広報」……………広報のモチベーション
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■予想以上の記事掲載(1/2)
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10月11日に広報をお手伝いしている(株)ラナのUSB腕時計「ドラッチ
・メモリー・ボルテージ」を発表した。USB腕時計は2年ほど前に市場に出
ているので珍しくはないが「ドラえもん」のキャラクターが付いているのが特
徴だ。
実はこの製品は第二弾で昨年同様な製品が出ている。その時は特に広報活動を
しなかったようでIT系の媒体ではさほど取り上げられていない。総合的には
それほどニュースバリューが高いとは思わないので、そこそこ記事になれば成
功かと考えていた。
いつもの通り事前にサンプル、リリース、画像データを持って媒体を訪問。編
集者の多くが第一弾は知らない様子、予想していた以上に反応は上々だった。
いざ発表をしてみるとIT系のWEB媒体は確認できただけで25誌も掲載さ
れた。正直に言って予想以上だ。
このメルマガが配信される頃にはすでにYahoo・ニュース等はすでにリン
ク切れとなっているが以下の通りだ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/1011/rana.htm
http://plusd.itmedia.co.jp/pcupdate/articles/0510/11/news049.html
http://bcnranking.jp/products/01-00004455.html
http://it.nikkei.co.jp/pc/news/index.aspx?i=20051011de000da
http://ascii24.com/news/i/hard/article/2005/10/11/658483-000.html
http://computers.livedoor.com/series_detail?id=21585
http://japan.internet.com/busnews/20051011/4.html
http://www.rbbtoday.com/news/20051011/26149.html
http://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/jp/pc/402875
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=112753&lindID=4
http://www.computernews.com/DailyNews/2005/10/
2005101115308DB589E396EC202020.htm
http://news.goo.ne.jp/news/infostand/it/20051012/1405427.html
http://japan.linux.com/news/05/10/12/020214.shtml?topic=1
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051011-00000033-zdn_pc-sci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051011-00000017-bcn-sci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051011-00000024-inet-sci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051011-00000036-rbb-sci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051011-00000019-imp-sci
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1434973/detail
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1434397/detail
http://computers.livedoor.com/detail?id=21671
http://computers.livedoor.com/detail?id=21639
http://computer.msn.co.jp/computer.armx?id=273952
http://www.walkerplus.com/mono/news/news185.html
http://news.fs.biglobe.ne.jp/it/bn051011-0510111540-017.html
紙媒体では発表翌週の週刊アスキーにも掲載されていた。WEBの掲載は12
誌がオリジナル記事で残り13誌はオリジナルが配信された二次利用の掲載と
なっている。ようするにその12誌に掲載されれば多くのサイトに掲載される
仕組みになっている。
■広報のモチベーションは記事掲載(2/2)
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コンプリートとは言えないが広報としては成功だと思っている。コンプリート
と言えないのは訪問して案内をしたが掲載されなかったサイトもあるからだ。
だが広告と違うのは広報は掲載の保証がないこと。載った載らないをあまり気
にしすぎると広報活動は行き詰まってしまう。
広報活動に限らす仕事にはモチベーションが必要だ。広報担当にとって一番の
喜びはいい記事が載ることだと思う。広報担当の方は掲載された記事を嬉しく
ファイリングしたことがあるのではないか。
筆者も以前は掲載紙を切り抜いて保存していたが現在は一部のレビュー記事を
除くとWEBのURLをテキストファイルに記録するだけに止めている。理由
は掲載が多くてやりきれないからだ。
以前メルコで広報をしていた頃は掲載紙が山のように送られてきて床から積み
上げた雑誌が机の高さを超えることがあった。社長から「片づけろ」とクレー
ムが付いたが掲載記事をチェックするより次の製品を記事掲載させることを優
先していた。
記事掲載は広報活動の結果であり、自身の成果のアピールとして可能であれば
細かく記事チェックを行い収集整理するべきであろう。しかし最終的に期待す
るのは、読者として記事を見たユーザーや販売店がその製品を購入してくれる
ことでありスクラップブックが厚くなることではない。
いざチェックするとなると労力は相当なものになる。広告掲載と異なり記事掲
載されても掲載紙が送られてこないのは普通だし、紙媒体は掲載時期が発表後
1ヶ月以上遅れることもある。掲載前に連絡があった媒体はともかく、いつ掲
載されるかわからない記事を探すのはそれなりに労力=コストが必要だ。
本来は広報代行業としてクライアント様から報酬をもらっているので○十誌掲
載されましたと報告書を提出するべきだと思っている。現在は報告書を作成す
る労力を削減する分、広報支援の契約コストを下げ、より多くの媒体に記事掲
載してもらう活動時間を増やしている。大きな会社の広報となると社内に向け
てする仕事は増えると思われるが、記事掲載が広報のモチベーションにつなが
ることは忘れないで欲しい。
☆──[今回のまとめ]────────────────────
1.WEB記事の配信の仕組みを理解しよう
2.記事チェックは重要だが掲載を増やすことが最優先
3.広報担当のモチベーションアップには記事掲載
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|24│奥川浩彦の「走るITベンチャー広報」………………企業内の広報の地位
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■広報としてのターニングポイント(1/2)
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10月のマスコミ夜話会の冒頭で企業内の広報のポジショニングについて話し
をした。読者の会社では広報の地位はいかがであろう。開発した製品の発表を
行うだけの下請け的なポジションになってなかろうか。
筆者がメルコ(現:バッファロー)でIT系の広報を始めたのは10年前だ。
数ヶ月後の96年、当時3D対応のビデオカードの発表があった。優秀なハー
ドウェア設計者の頑張りで他社より一足先に製品発表にこぎ着けたと記憶して
いる。
それまでメルコはこのジャンルでは劣勢で、ハードウェアは頑張ってもドライ
バーソフトは劣っていた。同じビデオチップを搭載した製品がライバルのカノ
ープス、IOデータが発売されると性能面で後塵を拝することとなった。
会社としては次の製品はコストダウンの方向に進んでいた。速度の遅いビデオ
メモリで性能は劣るが激安な製品を投入しようと考えていた。その頃通りがか
りに技術者は35ns(ナノ秒)の高速メモリを搭載した試作品を見せてくれ
た。その製品は速度は上がるが大幅にコストアップとなる。
たまたま社長と話す機会があり「遅くて安いは記事にならないが、高速チップ
で最速なら記事になる」と広報としての意見を言うと、翌日の開発企画会議で
そのまま採用され新製品は180度異なる仕様となった。
更に他社が既に搭載していた高画質化パーツを、最後発なのに特徴として「ア
ナログフィルターで高画質」とアピールし記事にもなり販売もそこそこ好調だ
った。駆け出し広報の筆者にとってこの製品はターニングポイントになった。
■広報は情報伝達の中心(2/2)
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これを機会に広報としての筆者のポジションは変化した。開発者が広報に対し
て理解を示し、協力的になってくれた。筆者も「速いで勝てなくても、早いで
勝とう」と攻めの広報を展開する様になった。
この製品なら貸出機を○月○日までに△台準備してくれたらこの雑誌とあの雑
誌、合計10誌の評価記事を獲ると言える様になっていった。開発やマーケテ
ィングから記事掲載に関する相談を受ける様にもなった。
広報は製品を一般に公開する窓口だ。開発された製品を発表するだけの下請け
や後処理部門と考えてはいけない。雑誌社や読者に対しては企業の情報公開の
中心になるべきだ。
開発が書いた資料をより適切はアピールポイントや、それを強調する資料、分
かりやすい表現とリリースを作成する段階では一種の翻訳が必要だ。発表日等
のタイミングも誌面の進行スケジュールを計算して進言するべきだ。
企業における広報の地位はそれぞれだと思うが、情報伝達に関しては是非中心
になって活動していただきたい。製品のアピールするポイントを多くの人に伝
えることが広報活動の基本だ。結果が出るとより活動はしやすくなる。是非社
内の広報の地位を向上させていただきたい。
1月から執筆させていただいた本稿も今月で終了です。お役に立てたか疑問で
すが、長い間ありがとうございました。次回で最後となりますが、よろしくお
願いいたします。
☆──[今回のまとめ]───────────────
1.企業内の広報の地位を考えよう
2.広報は社外に対する情報伝達の中心
3.結果が出ると広報の地位は向上する
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|25│奥川浩彦の「走るITベンチャー広報」…………………記事は誰のために
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■事は読者のために(1/2)
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最終回です。1年間ありがとうございました。最終回だからと特別な話題もな
いので、広報支援をしていて感じることをお話ししよう。
筆者は記事掲載の可否にこだわらないようにしている。もちろん一誌でも多く
掲載してもらいたいが、こちらの提供するニュースのバリューや媒体とのフィ
ッティングの問題もあり、それぞれの都合もあるので載らなくても気にしない
スタンスをとっている。
よって製品紹介で訪問した際も「載りますか」とか聞くこともほとんどない。
だが、広報支援している企業の方と同行すると、この質問をする方は少なくな
い。
編集者に言わなくても筆者に対し質問するケースはかなり多い。確かに新製品
を記事掲載して欲しいのは当然だと思う。
しかし記事は誰のためにあるのか考えてみたい。記事は新製品を出したメーカ
ーのためではなく、記事を読む読者のためにあるものである。
一部に広告を出向するスポンサーのためと思われる風潮はある。広告主に配慮
する記事がゼロとは言わないが、読者が喜ぶ記事の方が確実に掲載されると思
っている。
製品を発表する企業にとっては重要かもしれないが、読者にとってバリューが
なければ記事としてはなりたたない。それは自分自身が読者の立場に立って考
えれば理解できると思う。当然バリューはメーカーの地位や製品のポジション
の影響も受ける。自社の都合やエゴは通らないと自覚しよう。
■メーカーや製品の地位を自覚しよう(2/2)
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例えば価格改定のニュースは市場に影響する大手メーカーならニュースになる
かもしれない。しかしシェアの低いベンチャー企業の製品など影響力を持たな
いメーカーでは難しいであろう。
製品のポジションも話題のジャンルであればニュースになりやすいが、枯れた
ジャンルではバリューがない。一例をあげると32インチ、液晶テレビ10万
円は話題となるがブラウン管テレビ5万円は魅力がない。記事として取り上げ
る際の切り口も編集者に決定権はある。
依頼主から「こう書いてくれなければ載せないでくれ」と言われたこともある。
それはメーカーのエゴであって読者のためとは考え難い。自分たちの提供する
ニュースを第三者の立場で、あるいは読者になったつもりで価値判断すること
は広報活動に関して重要だと思う。
それを前提とすればどの媒体にどの切り口なら記事にしてもらえるか判断でき
るであろう。
また、編集者とは永く付き合う気持ちが大切だと考えている。この製品で終わ
りではないのだから、エゴを前面に出していると歪みが生じてくる。相手も人
間なのだから人としてマナーや常識をわきまえて付き合いたい。
バリューの低い製品だったら無理に押すよりは、「隙間があったら掲載して」
くらいの方が案外掲載されるものだ。記事の選択権はメーカーにはない。編集
者が読者のためと思えば掲載されると割り切って考えよう。そうすれば相手も
人だから多少バリューが低くても記事として扱ってくれることはあるものだ。
☆──[今回のまとめ]────────────────────
1.記事は読者のためにある
2.メーカーや製品の地位を自覚する
3.編集者とは永い付き合いを意識しよう
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